沖縄の仏壇 照屋漆器店 ── 時は変われど、変わらぬ想い
- 098-834-5727
- 営業時間 10:00~18:00
近年の日本国内で高齢化が問題となっていますが、親世代の高齢化にともなって、家庭内ででてくる問題の1つが仏壇の引き継ぎではないでしょうか。
先祖崇拝が根強い沖縄では、トートーメーについて多くのしきたりがありますが、仏壇の引っ越しの際にも沖縄独特の習わしがあります。
ご先祖様の魂が宿ると言われているトートーメーやお仏壇は、家具のように気軽に運べるものではありません。いざという時に慌てないように、日頃から話し合っておくと安心ですね。
本土では、六曜に合わせて引っ越しの日取りを決めることが多いですが、沖縄では、六曜と旧暦の両方をみて日取りを決めます。
六曜とは、14世紀頃に中国から日本に伝えられたもので、多くのカレンダーに書いてある、「大安」「先勝」など、日にちの吉凶を占う6つの「曜」のことです。
引っ越しにオススメな日は「大安」です。無理な場合は、「赤口」や「仏滅」を避けて決めるのがよさそう。
しかし、大安での引っ越しは人気のため、料金が高めに設定されている営業所もあるとか。ライフスタイルに合わせてベストな日取りを決めるとよいですね。
沖縄では、六曜のほか、縁起の良い時間帯を選んで引っ越しをする風習があります。
良い時間帯とは、干潮から満潮までの間の時間帯のことで、「福を満たす」という意味があります。もしこの時間帯が早朝や遅い場合は、次の日にするなど、日を変えるのがオススメ。
沖縄では、引っ越しを避けなければいけない日もあります。旧暦行事の日や、毎月1日と15日の御願の日、住人の生まれ年(干支)です。
ご先祖様を大切に思う沖縄で、旧暦行事は大切な行事ですよね。そして忙しい。そのため引っ越しは避けるべきとされています。生まれ年は、沖縄では厄年とされるため、避けた方がよいとされています。
沖縄では、仏壇を移動することを「ウンチケー」といいます。
ウンチケーとは、「案内する」という意味で、トートーメーに宿る魂を新しい家へご案内することを指します。
お仏壇は、荷物などを運び出したあと、1番最後に移動し、新居へは荷物より先に運び入れます。
トートーメーは、ご先祖様が宿っているので、そのまま動かすのはよくないとされていますよね。そのため、お坊さんに依頼して「魂抜き」という閉眼法要(閉眼供養)を行い、魂を抜きます。
そうすることで、トートーメーを「物」として扱えるようになり、移動しやすくなります。
引っ越し先の住居に移動したあとには、「魂入れ」の供養をし、再びトートーメーに魂をいれてもらいます。
これで「ウンチケー」の儀式は終わりです。
家庭によっては、自分たちでウンチケーを行う場合もあります。その場合、香炉にヒラウコー(沖縄線香)タヒラ(12本)でお通しをし、引越しのご挨拶をします。
そして、ヒラウコー(沖縄線香)半ヒラ(3本)を立てます。半ヒラ(3本)のヒラウコーは、ご先祖様と一緒に引っ越しをするために、乗っておいてもらうための線香です。半分まで燃えたら酒で火を消しましょう。
線香が割れないように風呂敷などに包み、床には置かないようにして持ちます。残り半分の線香は、引っ越し先の新居で香炉に立て、無事に引っ越しが終わったことを伝え拝みます。
新しい住居で最初に作ったご飯は、お仏壇へお供えして、無事に引っ越しが終わったことへの感謝を伝えましょう。
沖縄では引っ越しの際に、仏壇だけでなくヒヌカン(火の神様)も一緒に移動します。
引っ越しする3日前まで に、今住んでいる家のヒヌカンに、引っ越しの報告をします。ヒラウコー(沖縄線香)をタヒラ半(12本3本)3組でお供えして、拝みます。お供え物には、バナナ5本、ミカン3個、リンゴ1個を用意しましょう。
拝む時は、「現住所、家族全員の名前」を唱え、これまで守ってくださったことへの感謝を伝えます。そして新しい住所を伝えて、「引っ越しが無事に終わるようにお守りいただくことと、これからと一緒に引っ越しましょうということを伝えます。
移動の際にはヒヌカンの灰がとびら散らないように、ラップなどで包み、水の入れ物などは中身を流してキレイにし、風呂敷に包んで新しい住居に持って行きます。
新居では、荷物や仏壇より先に家の中にヒヌカンを入れ、引っ越してきたことへの拝みをします。
ウチャヌク(お餅)と果物をお供えし、ヒラウコー(沖縄線香)タヒラ半(12本3本)お供えします。
果物は、引っ越し前の住居でお供えしたもののどれか1つを新しく取り替えてお供えします。
新しい家に荷物を運び入れる前に「ミスマース」を台所に置いて、新居の土地の神様にご挨拶します。
ミスマースとは、味噌と塩のこと。これは沖縄独特の風習なので、移住者にとっては不思議な光景にうつるそう。
なぜ味噌と塩を置くのか。それは沖縄では、味噌と塩は最も大切なものだからです。
高音多湿の沖縄では、食べ物が腐らないように、味噌や塩を利用して、保存する文化がありました。そのため、生活に必要不可欠なものとして大切にされてきたのです。
沖縄では、「味噌と塩は家ヌ主(やぁぬぬし)」という言葉があるほど大事にされてきました。
家の荷物よりも先に、大切な味噌と塩をお供えし、拝むことで、新居の土地の神様を敬う気持ちを表します。
お供えした味噌と塩は、何日も置く必要はなく、自分の良いタイミングでウサンデー(お供えものを下げていただくこと)をします。下げた味噌と塩は、料理に使って大丈夫です。
また、ウサンデーした塩を使って塩水を作り、ベランダ、玄関、トイレ、風呂などの水場に流して清める家庭もあります。
拝みが終われば、荷物を運び入れます。ちなみに「沖縄での引っ越しの日」は、荷物を運ぶ日ではなく「ミスマース」をお供えした日のことなので、荷物は当日でなく、後日に運び入れても大丈夫ですよ。当日は忙しいので、前もってミスマースをお供えしておくと安心ですね。
沖縄で行われる、仏壇の引っ越しの儀式。忙しい現代では、風習どおりに行うのは難しい場合もあるかもしれません。引っ越しの際に味噌と塩を置くことも、沖縄独自の風習ですが、最近では行わない家庭も増えてきましたね。
しかし、何よりも大切なのは、ご先祖様を想う気持ち。それぞれのライフスタイルに合わせて、できることをしていきたいですね。
照屋漆器では、仏壇の引っ越しのご相談も承っております。慣れないお仏壇の引っ越し作業に、仏具の扱い方がわからず戸惑うこともあるかもしれません。
気になることがあればぜひお気軽に、スタッフまでお声かけください。専門知識豊富なスタッフがお手伝いいたします。