お役立ちコラム

97歳の長寿を盛大にお祝い!沖縄独特の風習「カジマヤー」

長年、平均寿命が全国一位と言われてきた沖縄県。

県内での長寿祝いとして、最も盛大に行われる行事に「カジマヤー」があります。

本土では聞きなれないお祝い事ですが、豪華に飾り付けられたオープンカーが道を走る姿を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
親戚など多くの人が集まり盛大に祝う「カジマヤー」を目指し、健康に暮らすことが長寿の秘訣とも言われる、沖縄で大切にされてきた風習です。

カジマヤーとは

沖縄で行われる97歳の長寿のお祝いのことで、8回目のトゥシビーにあたります。


トゥシビーとは「生年祝い」の事で、12年に1回ある自分の干支の年にお祝いをします。数え年で13歳から始まり、25・37・49・61・73・85・97歳がトゥシビーの年です。

昔はトゥシビーの年は厄年とされていたため、無病息災を願ってウガン(拝み)をし、厄払いをしていました。
基本的にトゥシビーを行うのは旧正月ですが、カジマヤーは年齢の「97」にちなんで旧暦の9月7日に行われます。


「カジマヤー」の他に「カジマヤーユーエー(お祝い]」と言うこともあります。

カジマヤーの由来は2つの説がある

カジマヤーというのは、沖縄の言葉で「風車」を意味しており、その由来には二説あります。


1つ目の説は、97歳になると童心にかえり風車を持って遊ぶという言い伝えから、97歳を迎えた本人に、風車を持たせて祝うようになったという説です。

2つ目の説は、模擬葬式の儀式として死装束を着せ、集落の7つの橋や7か所のカジマヤー(四辻)を通り、お墓まで連れて行ったという説です。

四辻(よつじ・よつつじ)は十字路や街頭という意味で、このことからカジマヤーの名がついたとも言われています。
この儀式は明治時代まで行われていました。主に沖縄本島の北部地方で行っていたもので、この儀式のことを「後生支度」と言って忌み嫌い、この行列に出会わないようにしていました。

カジマヤーのお祝いに欠かせない風車

カジマヤーのお祝いに忘れてはならないのが、風車です。


風車は、もともと中国から伝わり、平安時代の頃から日本でも子どものおもちゃとして親しまれてきました。
現在では商売繁盛の縁起物として、神社でも飾られています。

カジマヤーで使用される風車の羽は、色紙やプラスチック等さまざまな素材で作られることが多いのですが、昔はアダンの葉で作ったものを配っていた時代もあったようです。

カジマヤーの衣装と飾り

お祝いの当日には、華やかな衣装を身にまとい、主役の座につきます。


男性と女性では、衣装に違いがあります。


男性:赤色のちゃんちゃんこと、赤色の帽子をつけます。金色の刺繍が施されていることもあります。
女性:赤色の羽織ものと赤色の頭飾りをつけます。羽織の中には、黄色や青色の紅型の着物を着ることが多いです。


また床の間にはお米を九升七合飾ります。

そのお米には、風車を9本差しますが、家庭によってはたくさん差しているところも多いです。

オープンカーで盛大にパレードをしてお祝い!

カジマヤーのお祝いでは親せきなどで集まり、ホテルお祝いパーティをするほか、豪華に飾り付けられた車で、集落を走るパレードも欠かせません。


長寿を集落の全体で盛大にお祝いをする光景は、日本の他の地域では見られず、沖縄独特といえます。
離島など、小さなところでは、島全体でお祝いする場面も見られます。
時にはテレビで放送されたり、新聞で取り上げられることもありますよね。


パレードでは、華やかな飾りと主役の名前が書かれた垂れ幕を掲げた車が、一人一台用意されます。
地域の青年会などにより、沖縄の童歌「花の風車」などが演奏され、賑やかにスタート。

近隣の人たちも参列し風車を持ってお祝いします。それぞれにお祝いの言葉をかけたり、握手を求めて長寿にあやかります。
また、お祝いに来てくれた人々へもお礼に風車を配る家も多いので、風車をたくさん用意しておきます。
カジマヤーを迎えることは、本人や家族だけでなく、地域全体にとっても特別で嬉しい日である様子が伝わってきますね。

「花の風車」 歌詞

花ぬ風車や エイスリ
風ちーりてぃみぐーる  
チィトゥン テントゥン
マンチンタン
うねたり主ぬ前  
御目かきれー  

(花の風車は エイスリ
風につれて回るよ
チィトゥン テントゥン
マンチンタン
どうぞ尊い方よ
ご覧下さい…) 

我んや 友達連りてぃー  
遊ぶ うりしゃ 
チィトゥン テントゥン
マンチンタン
うねたり主ぬ前 
御目かきれー

(私は 友達を連れて 
遊ぶ 嬉しさよ
チィトゥン テントゥン
マンチンタン
どうぞ尊い方よ
ご覧下さい…)

カジマヤーでの拝みについて

カジマヤーというと、華やかで盛大なパーティでお祝い!だけでは終わりません。

ご先祖様を大切にする沖縄では、お仏壇やヒヌカン(火の神様)へのお供えや、感謝の拝みも欠かさずに行います。

 

ヒヌカンへのお供え物

  • 日頃のお供え物(お塩、お酒、お水)
  • 花米(洗っていない生のお米)
  • ウチャヌ 三個(三段に重ねられた白いお餅)
  • 赤ウブク 三膳(お赤飯)
  • ヒラウコー(沖縄線香)タヒラ(二片)と半分

お仏壇へのお供え物

  • ウチャトゥ(お茶)
  • お酒
  • 花米
  • 洗い米(お米を7回洗ったもの)
  • ウチャヌク ニ個
  • 赤ウブク ニ膳(お赤飯)
  • ヒラウコー(沖縄線香)タヒラ(二片)と半分

そのほか、お祝いに訪れた方々への、おもてなしのオードブルやお菓子などを用意します。
お供えをしたあとは、ヒヌカンからお仏壇の順番で拝み、無事にカジマヤーを迎えられた感謝と、これからのさらなる健康と長寿を祈願します。

拝みの言葉

「本日は、カジマヤーのお祝いの日でございます。
ヒヌカンガナシー、ウヤフジガナシーのお蔭様で、今日の良き日にカジマヤーのお祝いの日を迎えることができました。
どうぞこれからも、皆が健やかで元気に過ごせますよう。
ミーマンティウタビミスーリー(見守ってください)
ウートゥートゥー(拝みの最後に発する言葉)」

※ガナシーとは神様への敬称。ヒヌカン様、御先祖様と伝えています。 

いつまでも残したい風習のカジマヤー

若いうちは厄祓いとされるトゥシビーですが、61歳を過ぎると長寿としてのお祝い事になります。そのなかでも1番盛大にお祝いをするカジマヤーは、健康に長生きしたいという目標の一つにもなる風習です。


模擬葬式から始まったとも言われるお祝いですが、忌み嫌っていた風習が、今では盛大にお祝いする行事へと変化を遂げたのは驚きです。


沖縄独自の風習を絶やさずに、いつまでも健康長寿を願っていきたいものですね。
また、ご先祖様を大切にする沖縄らしく、これからも変わらずにしっかりと拝みを届けたいものです。

仏壇や仏具でお困りごとや気になることがあれば、専門スタッフがご相談をお受けいたします。

お気軽に照屋漆器店までお問い合わせください。