お役立ちコラム

冲縄の年末に行われる伝統行事

近年は新暦を元にして暮らす方も多い沖縄ですが、現在でも旧暦に合わせた伝統行事が多くあります。

移住して来た方の中には、新暦と旧暦が混乱してしまい、頭を悩ませているという方も。伝統行事が簡素化されつつある昨今では、沖縄出身でも調べないとわからないことも増えてきました。

沖縄で発行されるカレンダーの多くは、新暦とともに旧暦が記載されていたり、伝統行事が記載された沖縄手帳もあるので、活用しながら沖縄の暮らしを楽しみたいですね。

一年の締めくくりとなる12月にも、いくつかの伝統行事があります。

沖縄でよく見かける旧暦記載のカレンダー

トゥンジー(冬至)

冬至は、旧暦の11月中旬頃、毎年新暦の12月22日頃にあたります。

二十四節気の一つで、もっとも夜が長く、昼が短い日。沖縄では、冬至を境に日が長くなることから、太陽が生まれ変わるという風習もあり「冬至正月」(トゥンジーショーグァッチ)とも言われます。

この時期の気候を表す言葉に「トゥンジービーサ」というものがあり、この頃から寒さが厳しくなります。

二十四節気とは
古代中国で作られた暦のことで、1年を24分割し、季節の移り変わりを表す指標のことです。昔の人は、この二十四節気を農耕や漁に役立てていました。さらに1節を3つに分けたものを七十二候と言います。

沖縄だけでなく、全国的にも伝統行事が行われる冬至。
本州ではゆず風呂に入ったり、カボチャの煮物を食べたりと「魔除けの色」と言われてきた黄色い食べ物を取り入れ、養生しますね。

沖縄では、トゥンジージューシーやターンム料理を作り、ヒヌカンや仏壇にお供えする習慣があります。

ヒヌカンとは
「火の神」と書いて「ヒヌカン」と呼びます。
他にも「かまどの神」や「家の神(ヤヌカン)」などの名前もある、家の火(かまど)を司る神様です。
ヒヌカンは、他の神々へ家族の話も通してくれます。「ウトゥーシドクル」(お通しどころ)と呼ばれる、家の守り神でもあります。

トゥンジージューシーは、もともと子孫繁栄の縁起物とされるターンム(田芋)などの芋を入れた雑炊料理でした。しかし、現代では一般的な炊き込みご飯のジューシーに、ターンム料理を添えてお供する家庭が増えました。また、スーパーでも買えるようになり、手軽に済ませる家庭も多くなっています。

ご先祖様を大切にする沖縄では、お供えと共に日ごろの感謝の気持ちを伝えたり、これからの暮らしへのお祈りをします。

最近では、沖縄でも本州と同じようにゆず風呂に入ったり、カボチャを食べる家庭も増えてきました。本州と沖縄、両方の過ごし方を取り入れる家庭もあります。

ムーチー(鬼餅)

旧暦の12月8日、月桃の葉に包んだ餅 (ムーチー)を作り、ヒヌカンやお仏壇に備えて感謝を伝えたあと、みんなでいただきます。

この時期には、市場やスーパーでも多くのムーチーが売られる他、保育園などでもムーチーづくりが行われ、街中に月桃の良い香りが漂います。月桃の葉は、独特の香りがあり、県外から移住された方にとっては慣れるまで時間がかかることもあるようです。

この時期の気候をあらわす言葉に「ムーチービーサー」というものがあり、寒さが一番厳しい時期に、ムーチーを食べて体力をつけるという意味があります。また、鬼退治のために、鉄の塊を入れた餅を食べさせたことから、魔除けのために食べるという説も。

特に、厄年に当たる人がいる家では厄難を祓うために、家で鬼餅を作ります。 ヒヌカンとお仏壇にお供えし、家族の健康や悪魔払いを祈願します。

その他、ムーチーの日には子供の健やかな成長を願い行われる風習があります。

・ハチムーチー
赤ちゃんが誕生した家庭が初めてムーチーを迎える日には、内祝いとして親戚や隣近所にムーチーを配り、子供の健やかな成長を願います。ハチムーチーは、甘味のない白餅の生地をクバの葉に包んで蒸します。最近では、クバの葉も手に入りにくいため、月桃の葉を2.3枚重ね、大きい餅にして作っています。

・サギムーチー子供がいる家庭では、年の数だけムーチーを縄ばしごのように紐で結び、子供達が食べ物に困らないよう、願いを込めて天井から吊るす風習もあります。

・チカラムーチー
男の子には「チカラ持ちになるように」と、月桃ではなく神木とされるクバの葉で包んだムーチーを配りました。長男には特に大きなムーチーで、家族の健康や安泰を祈願しました。

最近では、ムーチーを結ぶ紐は輪ゴムやビニール紐ですが、昔は月桃の葉脈や茎の部分が使われていました。

ムーチーを蒸した後のお湯は魔除けになり、鬼の足にかかると鬼の足が焼けただれるとされます。門の前や家の周りにまいておくと、子どもを狙って家に入ってこようとする鬼が逃げて行くと言われています。

また、昔の人達はお正月が日にに日に近づくのを楽しみにしながら、餅を食べていたようです。ムーチーの8日から、全部食べ終わるとお正月がくるように、22個の餅を吊るし毎日1つずつ食べていました。

お餅を食べて祈願する。本州にはない、沖縄独特の風習です。

トゥシヌユール

沖縄の言葉で「大晦日」を意味し、「旧正月前日の大晦日」をさします。新正月が明けたあとに旧正月の年末がくるので、忙しくされる方もいるのではないでしょうか。

現代では主に新正月を祝うことの多い沖縄ですが、南部の方では、公立学校の授業が半日になるなど、いまでも旧暦の行事が盛んです。

旧正月には年越しそばや除夜の鐘はなく、沖縄復帰後に年越しそばとして沖縄そばが食べられるようになりました。

現代では、そういった家庭は多くありませんが、「年越し膳」を用意し、お供えします。お膳には、一年の厄祓いとして、ニンニクの葉をそろえて置きます。

年越し膳
・ソーキ汁 ・赤ウブク(赤飯) ・ウサチ(酢の物や和え物の小皿料理)
・ウワチャキ(重箱料理「ウサンミ」から、2つずつおかずを取り分けたもの

また、家具や農機具などに対しても、赤飯で小さなおにぎりを作り、一年の豊作を祈願するのです。

その他、屋根裏のネズミにも、 梁や桁などにおにぎりを置き「よい年を迎え、被害を加えないでください。 天井のウスメー (おじいさん)、 ハーメー (おばあさん)もよい年を迎えてください」といってお供えします。

仏壇にお供えしたものは、ウサンデー(お供え物のいただくこと)し、家族揃って年越しの膳を囲みます。この「年越しの膳」のことを「トゥシドゥイサカナ」(年越しの肴)と呼びます。

新暦・旧暦と忙しい年末ですが、さまざまな伝統行事の中にご先祖様や神様への感謝をあらわす風習がみられ、ご先祖様を大切に想う沖縄県の人々の心が垣間見えます。