沖縄の仏壇 照屋漆器店 ── 時は変われど、変わらぬ想い
- 098-834-5727
- 営業時間 10:00~18:00

旧盆を終えて、ようやくひと息つく頃。にぎやかだった数日が過ぎ去ると、どこか静かな気持ちになりますよね。8月下旬に旧盆を終えると、沖縄の行事はひと段落したように感じられるかもしれません。けれども、9月に入っても祈りの行事は続きます。旧暦を大切にする沖縄では、旧盆のあとも暮らしに根ざした行事が、しずかに続いていくのです。
悪霊を祓って家族を守る行事、実りに感謝する行事、長寿を祝う行事、そしてお月様を拝む十五夜。どれも昔から受け継がれてきた大切な節目です。県外から移り住んだ方や若い世代にとっては、あまりなじみのないものもあるかもしれません。
この記事では、2026年の日程とあわせて、沖縄の9月(旧暦8月)に訪れる旧暦行事をわかりやすく解説します。
【この記事のポイント】

この記事で紹介する旧暦8月は、2026年は新暦の9月11日から10月10日頃にあたります。8月25日から27日の旧盆を終えたばかりの、ちょうどその翌月です。
2026年の沖縄での主な旧暦行事の日程は、下記のとおりです。
| 行事 | 2026年の新暦日 | 旧暦 | 概要 |
|---|---|---|---|
| ヨーカビー(八日目) | 9月18日(金)〜21日(月) | 旧暦8月8〜11日 | 悪い霊や悪疫を祓う厄払いの行事 |
| トーカチユーエー(斗掻祝) | 9月18日(金) | 旧暦8月8日 | 米寿(88歳)を祝う長寿のお祝い |
| シバサシ(柴差し) | 9月19日(土)〜21日(月) | 旧暦8月9〜11日 | 家に結界を張り家族を守る魔除けの行事 |
| 八月カシチー(八月強飯) | 9月19日(土)〜21日(月)頃 | 旧暦8月9〜11日頃 | お米の収穫に感謝し家計の安泰を祈る |
| ジューグヤ(十五夜) | 9月25日(金) | 旧暦8月15日 | 月に感謝し豊作や家族の繁栄を祈る |
旧暦の行事は、月の満ち欠けをもとに日取りが決まります。そのため、同じ行事でも毎年ひと月ほど新暦の日付がずれていくのが特徴です。ここでご紹介するのはあくまで2026年の日程で、来年以降はまた変わっていくとお考えください。
旧暦8月8日から11日、2026年は9月18日から始まるのが「ヨーカビー(八日目)」です。旧盆を終えて、この世に降りてきた悪い霊や悪疫を祓う、厄払いの行事だと言われています。
ヨーカビーは「妖怪火」とも書きます。その昔の沖縄では、この時期になると丘の上など集落を見渡せる高い場所から、火の玉が現れないかを見張ったのだそうです。夜に火の玉やイニンビー(遺念火=悔いを残した魂とされる火)、チングトゥ(棺桶を打つような音)に気づいた家では、爆竹を鳴らして悪霊を祓ったと伝えられています。
いまでは電灯が家々を照らし、こうした光景を見かけることはほとんどなくなりました。それでも「火の玉を見たら厄落としの拝みをするものだよ」と、年配の方から聞くことがあるかもしれません。
目に見えないものへ、そっと手を合わせてきた沖縄の祈りの記憶です。
旧暦8月8日、2026年は9月18日(金)にあたるのが、米寿(88歳)を祝う「トーカチユーエー(斗掻祝)」です。長寿祝いのなかでも、全国と同じように沖縄でも盛大にお祝いされる、めでたい一日です。
「米」という字を分けると「八十八」になることから、旧暦8月8日が米寿の祝い日になったと言われています。
トーカチ(斗掻)とは、その昔お米を枡ではかった頃、山盛りのお米を平らにならすのに使った竹の棒のこと。これをお米とともに床の間に飾ってお祝いし、集まった人々には「あやかり昆布」などを配ります。長生きにあやかりたいという、みんなの願いがこもっています。
沖縄では、お祝いの3日前にあたる旧暦8月5日(2026年は9月15日)に、「メーニゲー(前祝い)」を行う風習もあります。集落の拝所やご先祖様のお墓へ、「無事にお祝いを迎えられますように」とご報告する、ひかえめで心のこもった前置きの祈りです。
ヨーカビーで悪霊を祓ったあと、旧暦8月9日から11日(2026年は9月19日から21日)に行われるのが「シバサシ(柴差し)」です。家の四隅や門など、大切な場所にサンやゲーンと呼ばれる魔除けを差して、家に結界を張る行事と言われています。
サンとは、ススキを結んでつくる魔除けの呪具のこと。ゲーンは、そこに桑の葉を加えたもので、サンよりも魔除けの力が強いとする考え方もあります。呪具といっても、身近な草木で手軽につくれるものです。
じつはこのサン、行事の日だけのものではありません。小さなサン「サングァー」を、お弁当や重箱料理の上にちょこんと乗せる。そんな光景は、いまも沖縄の暮らしのなかに息づいています。
シバサシと同じ旧暦8月9日から11日頃、あわせて行われることが多いのが「八月カシチー(ハチグヮチカシチー/八月強飯)」です。農耕がさかんだった沖縄で受け継がれてきた、お米の収穫に感謝する行事です。
カシチーでは、もち米を炊いた「おこわ」を供えます。沖縄では旧暦の六月と八月の年2回、このお米にまつわる行事が行われてきましたが、供えるおこわの色が少し違うのが面白いところ。六月のルクグヮチカシチーは白いおこわ、八月のハチグヮチカシチーは小豆を入れた赤飯を用意します。
農業を営む家庭が少なくなった現代では、収穫そのものというより、家計の安泰や「クゥエーブン(食べる運)」を願う行事として、家族単位で続けられています。
お供えには、お米を発酵させた「ミキ(神酒)」を用いるのが昔ながらの形。とはいえ最近では、ヨーグルトやヤクルトなどの発酵飲料で代えるご家庭も多いようです。
旧暦8月15日、2026年は9月25日(金)が「ジューグヤ(十五夜)」です。もともとは「チチウガミ(月拝み)」と呼ばれ、お月さまに日ごろのお守りへの感謝を捧げて、豊作や無病息災、子孫繁栄を祈る家庭の行事でした。
この日にお供えするのは「フチャギ」です。フチャギとは、ゆでた小豆を白いお餅にまぶした、満月に見立てた縁起物のお餅のこと。これをヒヌカン(火の神)、お仏壇、トゥクヌカミ(床の神)に供えて、家族が健やかに過ごせたことへの感謝と、これからの繁栄を祈ります。
旧暦8月15日にあたる、2026年は9月25日(金)です。旧暦の行事は月の満ち欠けをもとに日取りが決まるため、新暦での日付は毎年変わります。
必ず行うものではなく、受け継がれ方は地域やご家庭によってさまざまです。火の玉を見張るヨーカビーのような光景は今ではほとんど見られませんが、家にサンやゲーンを差すシバサシは、今も習わしが残る地域があります。
もち米を炊いたおこわが基本で、八月は小豆を入れた赤飯を用意します。あわせて、お米を発酵させたミキ(神酒)を供えるのが昔ながらの形ですが、最近はヨーグルトなどの発酵飲料で代えるご家庭も増えています。
沖縄の9月は、旧盆を終えたあとも祈りの行事が続く、実りと感謝の季節です。悪霊を祓うヨーカビーやシバサシ、収穫に感謝する八月カシチー、長寿を祝うトーカチユーエー、そして満月を拝む十五夜。どれも旧暦をもとにしているため、日取りは年によって少しずつ変わっていきます。
一つひとつの作法は地域やご家庭によってさまざまで、戸惑うこともあるかもしれません。けれど、いちばん大切なのは、ご先祖様や家族を思う気持ち。やり方にとらわれすぎず、無理のない形で受け継いでいきたいものですね。
拝みごとに使うヒヌカンやお仏壇、線香、祈りの道具などでお困りのことがありましたら、沖縄県一番の実績を誇る「照屋漆器店」にご相談ください。創業150年以上の老舗として、沖縄の暮らしとしきたりに寄り添いながら、お客様のご要望に真摯にお応えいたします。
