沖縄の仏壇 照屋漆器店 ── 時は変われど、変わらぬ想い
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沖縄の旧盆は、初日の「ウンケー」から始まります。ご先祖様をあの世からお迎えする大切な儀式ですが、お供え物や線香の本数、拝み方には細かな作法があり、「そもそもウンケーとは何をする日なのか」「何をどう準備すればいいのか」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
とくに初めて主催する立場になった方や、県外から沖縄の旧盆に触れる方にとっては、わからないことばかりかもしれません。
この記事では、ウンケーとは何かという意味から、お供え物と仏壇飾り、当日の拝み方の流れ、そして現代の住まいに合わせた工夫までを、わかりやすく解説します。
【この記事のポイント】
「ウンケー」とは、沖縄の言葉で「御迎え(お迎え)」を意味する言葉。あの世からお戻りになるご先祖様を、自宅へお迎えする儀式のことをいいます。沖縄の旧盆は3日間にわたって行われ、初日のウンケー、中日のナカビ(ナカヌヒーとも呼ばれます)、最終日のウークイ(お送り)という流れをたどります。
そのなかでもウンケーは、3日間のおもてなしが始まる「幕開け」の一日。日中に仏壇を整えてお供え物をそろえ、夕暮れどきに門前や玄関先で手を合わせて、ご先祖様を家の中へとお迎え入れます。
本土のお盆では初日の夕方に「迎え火」を焚いてご先祖様を導きますが、沖縄のウンケーでは火を焚きません。代わりにヒラウコー(束になった沖縄の平たい線香)や日本線香を焚き、その香りと煙を道しるべとします。
炎よりも香りを重んじる、沖縄の御願(ウグァン)文化ならではの迎え方といえるでしょう。
沖縄の旧盆は旧暦7月13日から15日までの3日間。この旧暦の日付を新暦に置き換えると、2026年(令和8年)は次のようになります。
なお、地域によっては旧盆を4日間とし、ナカビを2日間としてウークイを旧暦7月16日(2026年は8月28日)に行う家もあります。
沖縄のお盆の日付が毎年動くのは、月の満ち欠けをもとにした旧暦を基準にしているためです。本土のお盆が毎年8月13日から16日で固定されているのとは違い、新暦に置き換えると年によって8月下旬から9月頃までばらつきが出ます。
ウンケーの仏壇飾りには、一つひとつに「ようこそお戻りください」という思いが込められています。代表的なお供え物を見ていきましょう。
ウンケーの夕方に仏壇へ供える御膳の主役が、ショウガを加えた沖縄風炊き込みご飯「ウンケージューシー」。豚肉やひじき、しいたけなどを炊き込んで作ります。ジューシーにショウガを入れるのは、香りの強いショウガに邪気を祓う力があるとされてきたためといわれています。
副菜には大根やきゅうりの酢の物(ウサチ)を添え、ご先祖様専用のお箸として「ソーローメーシー(精霊箸)」を仏壇側に置きます。御膳の数は、故人お一人を祀っている場合は1膳、複数のご先祖様を祀っている場合は2膳以上を用意するのが一般的です。
ウンケーの飾りで最も沖縄らしいものが、サトウキビ(ウージ)を用いた「グーサンウージ」。あの世から長い道のりを歩いてこられるご先祖様の杖に見立てたもので、7節ほどの長いサトウキビを一対にして仏壇の左右に立てかけます。
「ナイムン」と呼ばれる果物のお供えは、パイナップルやスイカなどの大きなものを位牌の左右に一対で置くほか、バナナやみかんの盛り合わせを対で並べます。
ダーグ(白団子)は、小皿に7個ずつ盛って左右一対で供えます。この「7」という数の由来には諸説あり、あの世へ向かう道にある関所の数にちなむとも、奇数を縁起のよい数とする考えにもとづくともいわれています。
いずれのお供え物も、左右対称に、高さと大きさをそろえて並べるのが基本です。なお、無縁の霊への食事とされる「ミンヌク(水の子)」や、足元の汚れを払う「ソーローホーチ(精霊箒)」を用意する地域もありますが、これらは地域や家によって行わない場合も多いもの。周囲の慣習に合わせて構いません。
ウンケーで用いる線香は、ヒラウコー2枚組にあたる「タヒラ」が基本とされています。ヒラウコーは6本分が板状に連なった沖縄独特の線香で、1枚が日本線香6本分にあたるため、タヒラは日本線香に換算すると約12本分という計算になります。
門前や仏壇前では、家長がタヒラを供え、ほかのご家族は半分に割った「半ヒラ」や日本線香3本ほどを供えるのが一般的です。ただし本数には地域差があり、ヒラウコー1枚とする地域や、日本線香を5本・4本とする慣習も残っています。
最近では煙への配慮から、タヒラを3分の1に換算して日本線香4本にするなど、簡略化するご家庭も増えました。これは失礼にあたるものではありません。とくに小さな香炉に多くの線香を立てると熱で香炉が割れてしまう恐れもあるので、仏壇の大きさに見合った本数へ減らすほうが安全です。
ここからは、ご先祖様をお迎えする夕方からの流れを、STEP形式で見ていきましょう。
ご先祖様をお迎えするのは、日が傾き始める夕方から夜にかけて。時間に厳密な決まりはありませんが、日没前後を目安とするご家庭が多いようです。
門前または玄関先に、両脇へロウソクを一対、中央に香炉を置いて迎えの場を整えます。線香に火を灯したら、家長を中心に家族そろって手を合わせ、「グイス」と呼ばれる拝み言葉を唱えてご先祖様をお迎えします。
本来は沖縄の言葉で唱えるのが古くからの形ですが、言葉は家や地域によってさまざま。現代では「本日はウンケーの日でございます。どうぞ無事にお越しください」といった標準語で気持ちを伝えるご家庭も珍しくありません。決まった文言よりも、心を込めてお伝えすることが何より大切です。
門前での拝みを終えたら、お迎えした線香をそのまま仏壇の香炉へ移します。この所作は「ご先祖様を家の中へご案内する」という意味を持ちます。
仏壇には、あらかじめウンケージューシーと副菜、ソーローメーシーを整えた御膳を供えておきます。果物やサトウキビ、ダーグも左右対称に配置し、仏壇全体が整然と見えるように整えておくと、戻ってすぐにお供えできます。
仏壇の前に家族がそろったら、あらためて手を合わせます。「どうぞ3日間ごゆっくりお過ごしください」とお伝えして、お迎えの儀式はひと区切り。供えた線香が燃え尽きたら、お膳を下げて家族でいただくのが一般的な流れです。
ご先祖様にお供えしたものを分かち合う「ウサンデー」の考え方にもとづくもので、お下がりをいただくこと自体が供養の一部と受け止められています。翌日のナカビからは、朝・昼・晩の食事とおやつをお供えして、ご先祖様をおもてなししていきます。
昔ながらの門前の拝みが難しい住まいでも、心を込めてお迎えすることはできます。
集合住宅で共用廊下での線香が難しい場合は、玄関ドアの内側やベランダに香炉を置き、外に向かってお迎えする形で差し支えありません。「門前でなければならない」という決まりがあるわけではなく、大切なのはご先祖様をお迎えする方向へ気持ちを向けることです。
火を扱うことに不安がある場合は、LEDロウソクや電気式の提灯を使う、線香を短く折って焚く時間を短くする、日本線香に換算して本数を減らすといった方法があります。
小さな仏壇で大きなお供え物が置けないときは、脇に小さな供え台を置いてまとめる、果物やサトウキビを小ぶりなものに置き換えるなど、仏壇の寸法に合わせて工夫すればよいでしょう。
住まいに合った仏壇への買い替えをご検討なら、上置き型やミニ仏壇という選択肢もあります。
2026年のウンケーは8月25日(火)です。旧盆はこの日から27日(木)までの3日間で、26日(水)がナカビ、27日(木)がウークイにあたります。沖縄の旧盆は旧暦を基準とするため、毎年日付が変わります。
玄関ドアの内側やベランダに香炉を置き、外に向かってお迎えする形で問題ありません。火や煙が心配な場合は、LEDロウソクを使う、線香を短く折る、本数を減らすといった工夫ができます。共用部分での火気使用が規約で禁じられている場合は、無理をせず室内で行ってください。形を簡略化しても、お迎えする気持ちが失われるわけではありません。
伝統的にはヒラウコーを2枚組にした「タヒラ」(日本線香で約12本分)が基本で、家長がタヒラ、ほかの家族は半ヒラや日本線香3本ほどを供えます。ただし地域や家によって差があり、最近では日本線香4本ほどに簡略化する例も増えました。小さな香炉に多くの線香を立てるのは危険ですので、仏壇の大きさに見合った本数へ減らしても失礼にはあたりません。
ウンケーは、沖縄の旧盆初日にご先祖様を自宅へお迎えする、3日間の始まりとなる大切な儀式です。お供え物や拝み方には沖縄独自の意味が込められていますが、線香の本数や飾り方は地域や門中によって異なるもの。受け継いできた形を大切にしながら、ご家庭の暮らしに合った形に整えていただければと思います。
住まいや家族構成が変わるなかで簡略化を選ばれるご家庭も増えましたが、ご先祖様を思い、感謝を込めてお迎えするという心は変わりません。仏壇や仏具の買い替え、位牌や香炉のことでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
