床神

床の間・「床神(トゥクシン)」とは?

床の間に祀られている、神様を「床神(トゥクシン)」といいます。「床神(トゥクシン)」は、父系の血統へ繋ぎ、そこからご先祖様へお通しをして感謝をしたり守護を願ったりします。一番座の床の間に設置するのが慣わしであることから、仏壇は二番座に設置します。「床神(トゥクシン)」は男性の神であることから、願い事は家長である男性が行います。親が「床神(トゥクシン)」を祀っている場合は継承していきますが、次男以下は結婚して新たに仕立てます。

床の間について・関帝王(かんていおう)信仰

 沖縄の床の間は、関帝王信仰という、三国志の時代の武勇・関羽(かんう)をお祀(まつ)りする場所であることから、「家の中心」「男性が拝む神が宿る」として敬われています。
 関羽は、武術に優れていただけでなく、算術も巧みであり、沖縄では、商売繁盛の神様としても有名です。この武勇・商売繁盛という考え方と、男性は、家族を守り、家系・家計の中心である中柱(なかばしら)・大黒柱の意味が相まみえて、床の間は「家の中心」「男性が拝む神が宿る」という表現になったともいいます。

「床神(トゥクシン)」の御願

「床神(トゥクシン)」は「火の神(ヒヌカン)」同様、年中行事や人生儀礼において、家の繁栄・家族の健康・商売繁盛・病気快癒や旅行安全等を祈ります。「火の神(ヒヌカン)」と同じように毎月旧暦1日、15日に御願をしますが、ウブクを二つのところは少し違います。お茶一対、お酒、お水、お花を新しく取り替えて家族の健康・家の繁栄を願い、個人的に気になること、悲しいこと、うれしいこと、感謝したいことを「床神(トゥクシン)」に願います。
「床神(トゥクシン)」は知恵を授ける神でもあり、銭徳、食徳、命徳を授ける神としても重んじられています。また、「床神(トゥクシン)」を祀ると、特に男性の運気が良くなるので、うぶくのごはんは男性が頂きます。
長男の場合は親から継承されますが、二男以下は結婚すると仕立てますが親から灰をわけてもらうことはしません。

「床神(トゥクシン)」の神具の意味

  • 掛け軸
    福禄寿、七福神、松竹梅鶴亀、関帝王、高砂、南天の掛け軸をかけます。家長の人柄や生業によって掛け軸をかけるものが変わりますが、まずは、福禄寿、商売をしている方ならば七福神をかけることをお勧めします
  • 香炉
    旧暦の1日・15日に男性がお祈りをするために線香をたてます。香炉は、家によっては置かないこともあるので、周りの方々と相談して置きましょう。

  • 泡盛を注ぎます。「床の間(トゥクシン)」と仏壇専用の泡盛にして、飲むもの、料理用とはわけるのが基本です。
  • お茶2つ
    朝に仏壇用と分けて用意します。先に「床の間(トゥクシン)」からお供えします。
  • うぶく(ごはん)2つ
    炊きたてのご飯から一番最初にとりわけます。うぶくは、家によっては置かないこともあるので、周りの方々と相談して置きましょう。
  • 花瓶1つ
    台湾竹をお供えします。地域によっても異なるので、周りの方々と相談しましょう。
  • 花台
    「床の神(トゥクシン)」神具を置く台です。木製が多いです。

  • 地域によっても異なるので、周りの方々と相談しましょう。

  • 地域によっても異なるので、周りの方々と相談しましょう。

お祈りする日

「火の神(ヒヌカン)」と同じように、年中行事の際や人生儀礼において、家・家族の繁栄を祈るとされています。
また、毎月旧暦の1日と15日にはヒヌカンと同じようにうぶくを2つお供えして、お水やお茶、お酒やお花などを取り替えてから12本の線香をお供えします。
床の神のうぶくなどは男性が頂きますが、家族のことなので特に決まりはありません。
お茶とお水に関しては、「火の神(ヒヌカン)」と同じように、毎朝取り替える方も多くいらっしゃいます。

床の間・「床神(トゥクシン)」の方角

床の間は、東・南東・南の窓からの光が、直接当たることが大切です。最も重要なのは、東からの陽光で、その光が床の間に当たることが肝要です。窓はできるだけ大きく、部屋は明るければ明るいほどよいです。窓の重要度は、東→南東→南の順です。ですから、床の間・仏間は、西の壁を背にして東に向けるか、北の壁を背に南を向けるかです。この床の間・仏間の状態は、家人の頭の働きに影響します。床の間・仏間に朝日が入ると、勉強や読書がはかどり、直感が鋭くなります。仕事運も上向きになるでしょう。

この床の間・仏壇の向きは、『墓相』とも深い関わりがあります。実は、お墓の場合も、東~南東向きがもっともよく、西~北西向きがもっとも悪いのです。こうした方位の吉凶は、四神と方位の関係によって説明されます。すなわち、春を司り、生命の芽生えの象徴である東(青龍)の方角と、夏を司り、生命力の最盛期を象徴する南(朱雀)の方角が吉方とされ、秋を司り、老年と衰退の象徴である西(白虎)の方角と、冬を司り、死と停滞の象徴である北の方角を凶方としているのです。そして、墓が凶方を向いているのは、お家衰退の墓相と考えられています。「人の死に関わるお墓の方角だから、北や西に向けるべき」というわけではないということです。