沖縄の仏壇 照屋漆器店 ── 時は変われど、変わらぬ想い
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大切な家族を見送ってから四十九日までのあいだに、整えておきたいのが位牌の文字入れ。
ただ、初めてのことだと、「札には何を書けばいいのか」「どこに頼めばいいのか」とわからないことばかりですよね。沖縄ではひとつの位牌にご先祖様の名前が並ぶため、本土の位牌の情報がそのまま当てはまらないこともあります。
この記事では、沖縄の位牌に入れる文字の内容から、依頼の時期や依頼先、書きと彫りの違い、費用の目安までを解説します。
この記事のポイント
位牌の文字入れとは、位牌や、位牌に差し込む札に、故人の戒名や生前の名前、亡くなった日などを記すことです。沖縄では、四十九日まで祀る白木の仮位牌「シルイフェー」から本位牌へ移るのにあわせて、文字入れを行うのが一般的です。
本土では、故人一人ひとりに位牌を仕立てる形が広く見られます。沖縄で多く用いられているのは、「ウチナーイフェー」と呼ばれる沖縄位牌。複数の札を横に並べて祀る形で、ご先祖様の名前が並んで記されています。
ウチナーイフェーには、一段で一人から五人分ほどを祀るものと、上下二段で五人から九人分ほどを祀るものがあります。二段のものでは、上段に夫、下段に妻の札を、同じ列にそろえて入れるのが習わしです。
すでにトートーメーがある家では、故人の札を用意して名前などを入れ、位牌に加えます。初めて位牌を仕立てる場合や、夫より先に妻や子どもが亡くなった場合などは、まず個人用の位牌で祀り、のちに二段の位牌へ替える家もあります。
位牌や札には、表面と裏面に分けて文字を入れます。何を入れるかは、戒名があるかどうかで変わります。
表面には、故人の戒名か俗名を入れます。
沖縄にはもともと本土のような檀家制度がなく、位牌には生前の名前である俗名を書くのが一般的でした。今は戒名をいただいて入れる家も増えていますが、戒名がなければ俗名のままで問題ありません。
裏面には、主に次の内容を入れます。
没年月日は和暦で入れるのが一般的で、位牌によっては表面に入れることもあります。年齢の表し方には「享年」と「行年」があり、昔は数え年で記すことが多かったものの、今は満年齢で入れる場合もあります。
どちらにするかは宗派や家の考え方によって異なるため、迷ったときは依頼先に相談してみてくださいね。
文字入れの依頼は、四十九日の2週間ほど前までが目安です。
沖縄では四十九日に、シルイフェーから本位牌へ故人の魂を移す儀礼を行います。これを「イフェーノーシ」と呼び、本位牌はそれまでに用意できているのが理想とされています。文字入れには数日から2週間ほどかかることが多いため、余裕をもって依頼しておきたいものです。
すでにあるトートーメーに家族が自分で札を書いて加える場合は、そこまで早く動かなくても間に合うことがあります。
どうしても四十九日に間に合わないときは、仕上がってからイフェーノーシを行っても差し支えないとされています。あせらず、できるところから整えていけば大丈夫です。
文字入れの依頼先は、仏壇仏具店が一般的です。ほかに寺院や葬儀社に相談する方法もあり、家族が自分で札に書く家もあります。
位牌を購入するお店で、文字入れもあわせて依頼するのがいちばんスムーズです。位牌の大きさや札の枚数を相談しながら選べますし、文字の配置も位牌に合わせて整えてもらえます。
仏壇仏具店では機械で文字を入れる方法が中心になることが多く、「書き」か「彫り」かを選べるお店もあります。すでにあるトートーメーに札を加える場合も、ほかの札と並んだときの見え方まで含めて相談できるのが心強いところです。
戒名を授けてくださった僧侶に、位牌の文字もお願いする家があります。僧侶が筆で書いてくださることが多く、手書きならではの味わいのある文字に仕上がります。ただ、書く方によって字の印象が変わります。古い札と並べたときの見え方が気になる場合は、そのこともあわせて伝えておきましょう。
葬儀社に位牌の手配を頼むと、文字入れまで取り次いでもらえることもあります。対応の範囲は葬儀社ごとに違うので、葬儀の打ち合わせのときに聞いてみてください。
沖縄では昔から、遺族が自分たちで札に名前を書き入れてきた地域もあります。ご先祖様の札を家族の手で書くのも、心のこもった供養のかたちですね。
ただし、位牌の札は漆塗りのものが多く、上から書いただけでは年月とともに文字がかすれていくことがあります。トートーメーは何代にもわたって祀るもの。長く読める文字で残したい場合は、仏壇仏具店などに相談してみるとよいかもしれません。
文字入れの方法には、札の表面に文字を書く「書き」と、札を彫って文字を入れる「彫り」があります。主な違いは次のとおりです。
| 比べるポイント | 書き | 彫り |
|---|---|---|
| 仕上がり | 筆のようなやわらかさと温かみ | くっきりとして遠くからも読みやすい |
| 文字の持ち | 年月とともにかすれることがある | はがれにくく、長くはっきり残る |
| 修正 | 直せる場合がある | 基本的に難しい |
選ぶときの目安になるのが、すでにある札との統一感。代々の札が書き文字でそろっているなら書きを、彫り文字が並んでいるなら彫りを選ぶと、並べたときに違和感が出にくいです。
新しく位牌を仕立てる場合は、仕上がりの好みや、長く読める文字を優先するかどうかで選びましょう。
書き文字は、筆で書いたようなやわらかさと温かみのある仕上がりです。昔ながらの方法なので、古い札と並べても自然になじみます。漆塗りの札では、漆で文字を書き、その上に金箔をのせて仕上げる方法もあります。
文字が札の表面にのっているため、年月とともに少しずつかすれていくことがある反面、書き間違いなどがあったときには直せる場合もあります。
彫り文字は、札を彫って文字を入れるため、くっきりとした立体感があります。遠くからでも読みやすく、文字がはがれにくいので、何十年たってもはっきり残るのが大きな利点です。
ただし、一度彫った文字は変更がききません。札にはそれほど厚みがないため、彫り直すのも難しいとされています。依頼する前に、戒名や名前の字、没年月日を家族でよく確認しておきましょう。
文字入れの費用は、1名分でおおよそ無料〜2万円前後。依頼先や文字の入れ方、位牌の種類によって幅があります。
| 依頼の内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 位牌の購入とあわせて依頼する | 無料〜2万円前後(1名分) |
| 1文字ごとに料金を設定している場合 | 1文字あたり200〜300円ほど |
| すでにある位牌に文字を追加する | 1万〜2万円前後(1名分) |
位牌を買ったお店で文字入れを頼むと、料金が位牌の価格に含まれていることもあります。夫婦の名前を一基にまとめて入れるときや、すでにある位牌に文字を足すときは、別に料金がかかるのが一般的。手書きを選ぶと、機械で入れるよりも高くなることがあります。
位牌を選ぶときは、本体の値段だけでなく、文字入れにかかる費用もあわせて聞いておきましょう。
A. 書き文字なら直せる場合がありますが、彫り文字は札に厚みがないため、彫り直すのは難しいとされています。戒名や名前に旧字体が使われていないか、戸籍上の表記と合っているかも含めて、依頼する前に家族で原稿を見直しておきましょう。
A. 問題ありません。沖縄ではもともと檀家制度が根付いておらず、位牌には俗名を書くのが一般的でした。戒名がない場合は、表面に俗名、裏面に没年月日と享年を入れます。
A. お店によっては、すでにある札の文字に合わせて入れてもらえます。ただ、手書きの文字や年月を経た文字とまったく同じにはならず、少し違いが出ることもあります。古い札が並ぶ位牌に加える場合は、札を持って相談に行くと、実物を見ながら書体を決められます。
位牌の文字入れで迷いやすいのは、戒名を入れるか俗名にするか、古い札にどう合わせるかといった、家ごとの事情に関わるところです。四十九日までの限られた時間のなかで決めることになるので、原稿の確認や依頼先選びは、気づいたときから少しずつ進めておきたいものです。
ご先祖様の名前が並ぶトートーメーに、新しく家族の名前が加わる。文字入れは、その家の歴史が一代ずつ書き継がれていく節目でもあります。
照屋漆器店は創業150年以上の老舗として、仏壇や位牌の製造から販売までを手がけています。位牌選びから文字入れのことまで、どうぞお気軽にご相談ください。
